データ主義とデザイン思考を組み合わせる(なぜなにNPO vol.167)

データ主義(Data-driven)とデザイン思考(Design Thinking)は、組織運営において異なるアプローチや方法論を提供する概念です。
データ主義は、データや分析結果に基づいて意思決定を行い、組織の戦略や運営を指針として進めるアプローチです。データ主義では、客観的なデータや事実を重視し、データから洞察を得て意思決定を行います。データ主義は、活動戦略の策定やサービス開発、マーケティング戦略など、データが重要な役割を果たす場面で有用です。
データ主義の特徴は、客観性と効率性に重点を置くことです。例えば、WEBの閲覧履歴のデータ分析を通じてターゲットの行動傾向を把握し、精度の高いターゲティングを実現することや、イベントなどの参加者データを分析し、傾向を把握し、効果的な広報戦略を立案する。などが考えられます。
一方、デザイン思考は、人間中心の視点から問題解決に取り組むアプローチです。
デザイン思考では、受益者のニーズや課題を理解し、創造的なアイデアの発想から、試行や実験などの実践的な手法を通じて、新たな価値を創出し、受益者の視点を重視する場面で活用されます。
デザイン思考の特徴は、創造性と共感性に焦点を当てることです。新しい企画の開発において、受益者の意見や要望をヒアリングし、試行や実験的な活動を通じて、受益者が求める機能や活動を具現化することや、最近行政の施策によく見られる、受益者と共に課題解決に向けたワークショップを実施しながら、企画や施策を具現化していく手法として用いられています。
NPOをはじめとする市民活動団体は、デザイン思考が得意ではないでしょうか。そこにデータ主義を導入することで、過去の実績や実践の成果から、効果の検証を導き出し、継続的に運用することで、効果的な意思決定や創造的な問題解決が実現できるでしょう。
近年、ビジネスの手法を取り入れたデータ主義が得意な市民活動団体も増えてきていますが、そこに創造性や先駆性を取り入れることで、社会的な課題の解決策を導き出すことができるでしょう。
データ主義とデザイン思考は、それぞれ異なる視点や手法を提供しますが、組織の目的や課題に応じて、両方のアプローチを組み合わせることが大切です。
藤沢市で募集のあった、ミライカナエル事業はその要素を組み合わせたもので、叶えようとするミライをデザイン思考で創造し、データ主義で組み上げ、企画に反映する。今年もたくさんの応募があり、選考が始まります。
原資には限りがありますので、全ての活動を支援することはできないのかもしれません。しかしながらそのすべての活動は、実践知に基づく創造的な活動です。想うミライをカナエルため数多くの活動が実行されることを願ってやみません。(て))