会話を彩る雑談力のススメ(なぜなにNPO vol.177)

新しい年度を迎え、新しい活動が始まる方も多いと思います。
DX化が進む中ではありますが、対面での活動は市民活動やボランティア活動では不可欠ではないかと思います。そこで、今回のテーマは、「会話を彩る雑談力のススメ」としました。
2ヶ月に一度程度届くフリーマガジンの特集記事「雑談力を磨く」が目に留まり、読んでいくと、「人と人のつながりを広げる」とありました。
「つなぐ、支える、うごく」は、筆者の所属する法人の合言葉として、スタッフに浸透していますが、まさに、いの一番に「つなぐ」ためのトレーニングが、雑談力を磨くことで培われるのであれば、案外ハードルは低いのではないかと思いました。
市民活動やボランティア活動は、自分以外の誰かのための活動が多く、信頼関係を築くための会話が中心になることが多くなります。
組織内だけではなく、対外的も例えば、自分たちの活動の紹介や助成金申請のプレゼンテーション、新しい人材へのアプローチなど、円滑なコミュニケーションが必要になります。
では、「雑談力」はどのように磨くのでしょうか。単なる「おしゃべり」とは違うのでしょうか。
まず、自分に起こったエピソードを蓄積しましょう。上手くいったことだけではなく、失敗も忘れてはいけません。そして、そのエピソードは、相手の話を聞くときに使うのです。
自分の話を伝えるのではなく、話している相手の気持ちを理解し、共感するために使いましょう。
しっかり相手の話を聞き、同じような体験がある時にはそれを思い出しながら、相槌を打ったり、少し言葉を変えて同調したりすることができるための知識としての自身のエピソードの蓄積です。
話相手のエピソードが、体験したことも聞いたこともない時は、しっかり受け止め、興味を以て聞き入ることも、質問することも良いでしょう。
しっかり相手の顔を見ることや、自分の顔を上げることもポイントになります。それぞれの感情が上手くキャッチボール状態になることで、信頼関係をつくることができるのではないでしょうか。
最後に筆者のエピソードです。
30歳代の頃、今は少なくなった街中の喫茶店のカウンターの中で珈琲を淹れていた時期があります。
たまたま、自宅でスポーツ新聞と全国紙を購読していたので、一通り目を通してカウンターに入っていました。ボックス席もありましたが、カウンターにおひとりでお座りになるお客様向けの情報収集でした。
半年もたつと、徐々に会話ができるようになってきていましたが、それでも趣味の話題には追い付けず、学びの多い時期でした。
知らないことってこんなにたくさんあるのだと毎日がワクワクの連続でした。今、当時では考えられないほど多くの方と会話をしています。その頃から、自分に起こったことの蓄積量が増加しはじめ、今もワクワクが続いていることで、相談員やサポーター、コーディネーターなどが続けられていると思うと、これまでの全ての経験がとても大切に思えてきました。
「つなぐ、支える、うごく」で引き続きお付き合いください。(て)