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NPOと行政の対話のススメ

※本記事は、「F-wave」(2021年6月号)に掲載されたコラム(なぜなにNPO vol.142)を引用・再編集したものです。

「対話」は協働事業事業の要

6月2日に「NPOと行政の対話を促進するための基礎講座」が開催されました。昨年まで「NPOと行政の対話フォーラム」として、かながわ県民センターのホールで実施されていた事業のオンライン版です。

ここでいつも取り上げられる「対話」は、協働事業の要(かなめ)となる言葉として、常に意識をしています。

「対話なくして協働を実施ことはできない」は法政大学名誉教授の山岡義典氏の発言です。

少し「協働」をおさらいしておくと、そもそも「協働」とは、アメリカの行政学者 ビンセント・オストロムの造語「コプロダクション(co-production)」と言われています。

また、「地域住民と自治体職員とが心を合わせ、力を合わせ、助け合って、地域住民の福祉の向上に有用であると自治体政府が住民の意思に基づいて判断した公共的性質を持つ財やサ-ビスを生産し、供給してゆく活動体系である。」と1990年に発刊した東海大学の荒木昭次郎氏の著書『参加と協働 : 新しい市民=行政関係の創造』に表現しています。

制度としては、1998年NPO法の制定、1999年横浜市のいわゆる「横浜コード」の全国への波及が深く関係しています。

その後、政府は「新しい公」について、

「21世紀日本の構想」に「個が自由で自発的な活動を繰り広げ、社会に参画し、より成熟したガバナンス(協治)を築きあげていくと、そこには新しい公が創出されてく。ここでいう公は、『お上』や『官』に一方的に決められた、強いられてきた従来の『公共』と称するものではない。

それは、個人を基盤に力を合わせて共に生み出す新たな公である。自分の所属する場にとらわれず、自分の意思で、意識的に社会へ関わり合うことで新たに創出されてくる公である。多様な他者の存在を許し、思いやり、他者も支える公である。」という記述があります。

そして「新しい公共」という考え方へつながり、制度や法律の改正や改革が進んできた。委託事業や補助・助成事業、共催事業など様々形式で協働事業が全国で実施されています。

立場を超えた「対話」を重ね、協働を

あくまでも「協働」は目的ではなく「手段」と捉え、その先の受益者(市民・自然・文化など)がいることを忘れずに、自分の所属する場にとらわれず立場を超えた「対話」を重ね、一番ふさわしい「形態」を選択し実行していくことが大切です。

憲法の前文には国民が主権者であると記述されています。

そろそろ「市民主権をかたちにする協働」が現場を通じて実感できるのではないかと期待しています。今回の特集記事の事例はその兆しを見ることができました。

一市民として、丁寧な「対話」の先にある「協働」を期待しています。

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