活躍する報告書作成のコツ(なぜなにNPO vol.176)

3月末が期末になる団体にとって、報告書作成の時期になりました。
報告書は、1年間の活動をまとめ、関係者へ成果や効果を報告し、次年度への申し送りや次年度も含めた未来への予測などを伝える重要な資料です。助成金や補助金などを使った活動だけではなく、組織全体の活動実態がわかる資料です。
市民活動推進センター及び市民活動プラザむつあいでは、ご登録の更新の際、報告書の添付をお願いしています。その際に、報告書の記載内容について質問されることがあります。
NPO法人の場合は、一定のフォーマットがありそれに沿って書き進めることで、迷うことは少ないのですが、任意団体の場合、特に決まった形式はありませんので、見ていただく関係者の皆様にわかるように書くとしか答えることはできません。
では、見ていただく関係者は誰でしょうか。
会費をお支払いしていただいているいわゆる「会員」、団体の活動に参加している「ボランティア」、資金を提供していただいている「助成団体や行政、寄付者、企業など」、団体活動の恩恵を受けている「受益者や受益地の関係者」など、書き出したらきりがありません。
つまり、公益的な活動の関係者はとても広く存在することになります。その方たちに向けて報告するのですから、公益的な市民活動の活動情報は、公開する資料となります。
特定非営利活動促進法もその論理の上に成り立っているので、団体情報は個人情報を除いて、公開が原則となっているのです。さて、話を戻しますが、「わかりやすい報告書の書き方」研修でお勧めしているコツを紹介します。
わかりやすい報告書の書き方
1.年間の動きが解るような総評(コメント)を入れる
・年度目標や活動目的への達成度や所感
・実施年度で発見できた課題や工夫
2.視覚に訴える
・特徴的な数字の変化はグラフや図表などを使う
・写真も活用し、実際の動きのイメージを伝える
3.ことばは優しく丁寧に文字化する
・専門的用語は、注釈を入れる
・関連組織名や実施会場の記載は、正式名称を入れる(略称は注釈を入れる)
・できるだけ優しい言葉で構成する
報告書を丁寧にしっかり作成することで、内部の理解だけではなく、支援者獲得に向けた営業ツールにもなります。
組織の悩みのトップ3(※)は、「人材」「資金」「情報」です。
一度も参加していない市民に向けて、自組織の成果を報告するイメージで作成し、公表していくことで、組織への理解が深まり、共感や信頼を高めていくことになります。
また、「アイディアは既存の要素の新しい組み合わせである」と言われています。
「既存の要素」は報告書に中にしっかり埋め込み、どんどん活用していくことで新しい動きにチャレンジしていきましょう。「大切にしまっておく報告書」ではなく、「活躍する報告書」にシフトしませんか。(て)
※2023年度「市民活動団体の活動状況調査」より