藤沢市市民活動推進センター 藤沢市市民活動プラザむつあい

vol.137 「共感する寄付」から「信頼する寄付」へ

 政府では、12月は地球温暖化防止推進月間としていて、横浜にある「かながわ県民活動センター」のロビーには、地球温暖化やその防止に関連するポスターが貼られ、チラシなどがたくさん置いてありました。一方、日本ファンドレイジング協会は「Giving December」と銘打って、2015年より「寄付月間」としています。

 日本における「ボランティア元年」は138万人がボランティアとして活動した1995年の阪神淡路大震災の発災年であり、「寄付元年」は国民の平均寄付額が倍増した2011年の東日本大震災の発災年といわれ、それぞれ大きな災害がきっかけとなっています。近年でも、熊本地震により崩れた熊本城の復興に向けた「復興城主」寄付や沖縄の首里城火災後の「復興プロジェクト」など寄付への関心度は高く、それぞれ短い期間で目標金額を上回る結果となっています。それよりも以前から、災害に対応する寄付は「義援金」と言われ、被災者に直接手渡しするための募金活動でした。しかしながら、ボランティアが支援活動に動き、支援活動をするための資金として使うための「支援金」が募集されるようになってきています。このような寄付は「共感する寄付」の一つと考えられ、復興のための活動、再建のための活動は、多くの国民の心に届いていることがわかってきました。近年話題に上っている「寄付型クラウドファンディング」の市場規模の変化(2015年の1.3億円から2018年には10億円 出典:矢野経済研究所)にも顕著に表れています。

 一方、「信頼する寄付」は、赤い羽根や福祉基金、財団や社団、NPO法人など、「社会の課題をきっと解決してくれるはず」と信頼と期待を込めて寄付する場合が多いのではないでしょうか。組織や行っている活動への支援となるので、寄付者の判断が求められます。「共感する寄付」に対して、「信頼する寄付」の市場はあまり変化していません。「信頼」は「共感」の延長線上にあることを考えると、多くの社会貢献活動への「共感」は得られていることはわかっているので、「信頼」を獲得するための何らかの方策をとり、寄付に繋ぐことも広くとらえたNPOの役割といえます。市民は何をもって信頼していくのか。NPO法人の場合は組織の情報をできるだけ公開することで信頼確保の道筋をつくっています。貸借対照表の公告もその一つです。

 信頼できるNPOの条件は寄付者それぞれです。コロナ禍で活動が緩やかになっている現在ですが、応援や参加してほしい市民を巻き込むチカラを蓄える機会と捉えてみてはいかがでしょうか。(て)