情報No.113273
幕末維新史において、西郷ほどよく知られた人物はいません。扱われた小説、映画、ドラマは数知れず。もっとも名高い一人と言っても過言ではないでしょう。しかし、一方でまた、西郷ほど捉えにくい人物もいません。官軍を率いた「維新の三傑」でありながら、西南戦争を引き起こした賊軍の首魁。武断の人でありながら温情の人であり、同時代人の証言は「大人物」「豪傑」から「不見識」「短慮」までさまざま。国民には「西郷さん」と親しまれながら、その評価は時代によって変わり続けてきました。作家の司馬遼太郎も「西郷は永遠の謎」と書いているほどです。西郷隆盛とはどのような人だったのか。なぜ西郷はわかりにくいのか。西郷という存在を歴史上どう考えればよいのか――。数多の西郷論をひもときながら、いくつかのキーワードでその人物像に迫ります。