Vol.154 プロダクトマネージャー(PdM)のオシゴト
2020年の春から新型コロナの感染が拡大しはじめ、緊急支援を除き、現場の活動の縮小傾向が続いていました。その中での活動相談の傾向として、役員や事務局の役割と活動現場の動きの関係といった、組織内の人的マネジメントの相談が増えてきています。
NPO(市民活動組織)は市民や住民を含む地域や社会の課題や問題を解決に向かうための活動を実施する組織です。解決すべき課題を見つけた人がその課題の解決に知恵と能力と財力と時間を費やすことができる場合は、即座に始めることができますし、早く解決するでしょう。しかしながら、そんなスーパーマンのような市民は、数多く存在しません。となると、個人的ではなく、役割を分担して複数の市民が持てる力を出し合ってグループとなり、解決に向かうことになる。それがNPOです。
今回取り上げた「プロダクトマネージャー(以下、PdM)」は、プロダクトのマネジメントをする方です。聞きなじみのあるプロジェクトマネージャー(以下、PM)とは違います。プロダクトとは、受益者の利益を考え提供する製品やサービスのことで、その価値を高める視点でかかわる人をPdMと言います。PMは品質・コスト・スケジュールなどに視点をあて、かかわっていきます。この2つはプロダクトを世に発信するうえでどちらもとても重要なポジションなのですが、まったく別の役割を持っています。
企画を考えるときに5W1Hを意識している方も多いと思いますが、主に「What(何を)」「Why(なぜ)」の視点は、PdMが、「When(いつまでに)」「How(どうやって)」は、PMのお仕事になります。しかしながら、同じ人が両方の役割を担うことも多く、企業においても兼務している例が多くみられます。
NPOでは、理事監事などの役員が、PdMで事務局がPMという役割分担をしている場合が多いようです。役員の人事をどのようにするのかといった手法を考える前に、役員には何をしてもらいたいのか、事務局は何をしなければならないのかをまず整理していくことが大切です。いずれにしても、直接受益者と交わっている現場がスムーズに展開していくための下支えの役どころを理解されていることが重要です。また、理事もスタッフとしてしっかりとサービスの提供者になっている場合は、理事として、スタッフとして役割の違いを認識してた上で行動ができる方にお願いできると悩みがひとつ解決しますね。(て)
掲載日:2022年5月