藤沢市市民活動推進センター 藤沢市市民活動プラザむつあい

vol.147 レジリエンスな組織

 10月に入り、緊急事態宣言が解除となり、少しだけにぎやかな街の景色を見ています。しかしながら、いつどうなるのかわからないという不安も持ちつつの動きなのではないでしょうか。

 このような中で、“レジリエント”(resilient)や、“レジリエンス”(resilience)という言葉をよく耳にするようになりました。

 広辞苑によると、レジリエンスは、物理の分野の言葉で、「弾力性」「反発性」とあります。近年では、心理学、生態学で、困難で脅威を与える状況にもかかわらず、うまく適応する過程や能力、および適応の結果のことと表現しています。具体的には、危機を乗り越える柔軟で、しなやかに立ち直る力ということであり、社会生活上のキーワードとして、「レジリエントな組織」「レジリエントな社会づくり」「防災レジリエンスの向上」などと使われています。この用語は2001年ニューヨークで起きた9.11同時テロや2011年3月の東日本大震災で危機対応のキーワードとなっており、2013年に開催された、ダボス会議(世界経済フォーラム)のメインテーマとして取り上げられた頃から経済面でも話題となっていたようです。2019年には京都市が「京都市レジリエンス戦略」をまとめ京都市のレジリエンスの源泉に「地域力」と「市民力」を上げ、同時に国連のSDGsの取り組みも連携して進めることが盛り込まれています。このように、用語としては、それほど目新しいものではないようですが、コロナ禍における18ヶ月に及ぶ生活の変容に対し、「弾力性」や「回復力」という意味を持つ言葉として焦点が当てられているようです。

 これまでも、市民が主体的に活動する非営利活動組織は、大きな自然災害などの「想定外の突発的なショック」と経済格差・社会的弱者・気候変動といった「先を見通すことの難しい慢性的なストレス」から「弾力性」の高い「回復力」によって対応してきました。今回の世界的なコロナの蔓延後においても、単に元の状態に戻すという意識を超えた、あらゆる努力と研究、実践を通して、この危機を糧に成長するという「しなやかに立ち直る力」を身につけ、組織そのものも「レジリエントな組織」として行きましょう。(て)