藤沢市市民活動推進センター 藤沢市市民活動プラザむつあい

ボランティア 誰かのためというよりも 私が私らしくあるため(なぜなにNPO vol162)

ボランティアのキーワードは、「自主性」です。

「volunteer」は、ラテン語の「volo(~したい)」から派生した「voluntās(自由意志、善意)」と言われており、辞書には、「①志願兵、有志②自発的に(奉仕・援助などを)申し出る③進んで(…しようと)申し出る④自ら進んで事に当たる」とあります。

主として自発性や主体性を表し、「無償で」という言葉はありません

日本語の「ボランティア」は、英語の「volunteer」に由来した外来語ですが、「無報酬で活動するもの」という印象が強く、「自主性や善意性」よりも「無償性」が強調されています。

広辞苑には、「(1)義勇兵、志願兵(2)奉仕者、自ら進んで社会事業などに無償で参加する人」とあります。

これは推測なのですが、「自主的・自発的な行動」が「見返りや報酬を求めない行動」と考えられ、結果「無報酬行動」という無意識の変換が多くの日本人の中で起こり、「ボランティア」は、「滅私奉公ではないのか」と言う方も少なくありません。

大学生に向けた「ボランティア論」の講義の中で、言葉の成り立ちや日本での意味合いを説明すると、思っていたボランティアのイメージが変化していくことがよくわかります。

そのようなボランティア活動ですが、1995年の阪神淡路大震災の年をボランティア元年とし、近年多くの市民がかかわりを持ってきています。

内閣府の「社会意識に関する世論調査」(※2)によれば、社会への貢献意識を持っている市民は1990年代以降現在に至るまで約60%を超えています。社会貢献の意味合いも多々ありますが、ボランティア活動に参加している市民も少なくありません

ボランティア活動の行動率は約30%程度とみられていますが、ボランティア活動に参加した理由(※3)の第一位が「社会の役に立ちたい(54.5%)」第二位が「自己啓発や自らの成長につながると考えるため(32%)」となっていることを受け止めると、本来のボランティアの意味をしっかりと捉えてきていることがわかります。

実際に行動をしてみると「誰かのために自分をなくす」ということよりも「自分のためになる」ことに気づきます。

2019年の年末から、新型コロナの感染が広まり始め、行動が制限され続けてきています。その中でも、「できることをできるときに」を合言葉に、様々なボランティア活動を続けてきている皆さまがいらっしゃいます。

「私が私らしくあるため」の行動としてのボランティア活動をこれからも続けていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。(て)

※1 タイトル「ボランティア 誰かのためというよりも 私が私らしくあるため」:東洋大学学生百人一首2001年入選作より
※2 2021年12月調査 社会意識に関する世論調査(内閣府
※3 2019年度 市民の社会貢献に関する実態調査(内閣府)