藤沢市市民活動推進センター 藤沢市市民活動プラザむつあい

非営利用語辞典の読後感想(なぜなにNPO vol.168)

「非営利用語辞典」が全国公益法人協会から発刊されました。

収録された用語は904語あり、非営利の領域で使う、いわゆる専門用語にかぎり、更に重要度の高い用語を選定したとあり、営利でも非営利でも同様に説明できる項目は除くともありました。

日ごろ非営利活動の支援事業で使っている言葉は専門用語なのだと改めて認識したと同時に、一般的に理解が進みにくく、組織マネジメントなど運営や経営がままならない組織が多いのも納得できます。

 【 あ 】に は 、芸 術等文化支援の普遍的な考えとされる「アームズ・レングスの法則」から始まり、非営利活動の評価で最近よく聞かれる「アウトカム」「アウトプット」「アウトリーチ」と続いています。

「インプット」→「アウトプット」→「アウトカム」→「インパクト」の順で、フレームワーク等で展開している例もあり、なじみのある方も多いと思います。

日本語では「資源の投入(量)」→「結果としての生産品・産出物(量)」→「設定された目標に対する成果」→「社会への影響(波及効果)」と少し回りくどい表現になりますね。

続く「アウトリーチ」も最近の活動では頻繁に使われる言葉で、辞典には福祉分野で開発された言葉とありましたが、派遣や出張型のサービス全般を指すようになっているとの記述があります。

このように、やはりカタカナの言葉が大変多く、全体の約半数を占めていることは非営利活動の特徴と言えます。

改めて、904語を読んでみると、「市民」や「ボランティア」「協働」など、一般的に使われる用語や、「社会福祉法人」「宗教法人」「学校法人」「特定非営利活動法人」など各種非営利法人の解説から、同じ用語でも組織の形態や法人格で意味が異なる説明まで、様々な形で表示してあります。

例えば、「財務諸表」「計算書類」は、それぞれの法人格で会計基準の違いによる解釈の違いがあるため、掲載項目別に詳細な説明があります。

また、キャッシュフローの「キャッシュ」が示す資産に含まれる種類に法人格ごとに違いがあり、認識を新たにしました。

辞書になったことで、手軽に何回も確認できることは喜ばしく、今後も大切に活用していきますが、非営利の世界は常に流動的であることを考えると、刊行の辞に「鋭意務めたものの不完全を免れていない中で、非営利の世界の現象もつねに拡大深化しているので、継承して版を重ねられるよう」とあるように今後に期待しています。

市民活動推進センターで閲覧が可能です。一度手に取ってご覧ください。(て)