孤立という病を治す社会的処方とは
※本記事は、「F-wave」(2026年1月号)に掲載されたコラム(なぜなにNPO vol.193)を引用・再編集したものです。
ボランティア活動の相談を受けていると、担当医から「ボランティアでもしてみたらどうかと言われたので、何か紹介してください」と来られる方に出会うことがあります。
そのような場合には、「好きなことは何ですか」「やってみたいことはありますか」「これまでに活動した経験はありますか」といった質問をしながら、その人に合いそうな活動を一緒に探し、紹介しています。
このように、薬を処方するだけでなく「行動を処方する」ことに意味があることが、近年、実証されつつあります。
これは「社会的処方」と呼ばれています。

世界的な広がり
社会的処方は、2020年に世界的に権威のある医学雑誌『New England Journal of Medicine』で取り上げられ、健康を「医療」だけに任せるのではなく、「地域とのつながり」を処方するという考え方が、世界的に広がり始めました。
日本での広がり
日本でも、日本医事新報『Medicina』や医学書院の専門誌などで、医療と地域をつなぐ新しいアプローチとして紹介されています。
さらに、「孤独・孤立対策推進法」が2024年4月から施行されるなど、多様な連携の必要性が示唆されています。
孤独や孤立が、喫煙や肥満と同様に健康へ悪影響を及ぼすことは、多くの研究で明らかになっています。
しかし、孤独や孤立そのものに効く薬はありません。
そこで、地域活動やコミュニティ、人とのつながりを「処方」し、適切につないでいくことで、孤独や孤立を和らげ、市民の健康増進につなげようという取り組みが注目されています。
医療では想定されてこなかった処方に、医療従事者の関心が集まっているのです。
一方で、自治会・町内会への加入率の低下や、ボランティアの担い手不足など、地域活動は継続の危機に直面しています。
つながりを受け入れたい地域と、つながりを必要とするかもしれない市民が出会える仕組みや仕掛けが、今まさに求められています。
昨年12月には、横浜市会の「市民活躍・地域コミュニティ活性化特別委員会」において、地域活性化における市民の「つながり」が議論されました。
また神奈川県では、多様な主体がそれぞれの強みを生かし、持続可能な共創事業を生み出すためのプラットフォーム「ともいき社会推進コンソーシアム」が立ち上がりました。
いずれも、多様な「つながりづくり」を支援することを重視しています。

「つながり」をあえて避けたい時期がある生き方も、もちろん大切です。
それでも、「孤立」と無縁な人はいません。
今、孤立しているかどうかではなく、つながりたいと思ったときに、つながることのできる社会を、皆でつくっていきませんか。
さて、新しい年を迎えました。
今年は何人の方と「明けましておめでとうございます」を交わしたでしょうか。
年賀状は卒業しても、挨拶まで卒業してしまうのは、寂しい気がしています。
※最初に登場した相談者の方は、現在、都内のNPO法人で活躍しています。
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