vol.138 市民創造社会元年
2020年11月21日、22日、日本NPO学会の第22年次大会が開かれました。22日のGセッションは、「改めて、市民社会創造を青臭く語る ~ポストコロナ時代の市民社会とは~」と題し、日本NPOセンターの研究員であり、弊機構理事の椎野修平がモデレーターをしたセッションを開催しました。パネリストの山岡義典氏(NPO法人市民社会創造ファンド理事長)は、関東大震災、戦災、阪神・淡路大震災、東日本大震災、等々を経験した中で、大災害は市民社会をどう変えてきたのか。コロナ感染がこれらと異なるのは、地球上のすべての人が被災する可能性を有し続けたことにより、地縁・血縁を超えた我が事としての(市民としての)助け合いが表れてきたように思う。また、今後発展が望まれている非接触文化は、「オンラインサービスの普及・活用・常態化・依存」と「移動制限による対人ボランティア抑制」で構成されており、市民社会に何をもたらすのか、市民社会創造は進むのか、遅れるのか、変わりないのか?など、「新しい市民社会」に向けた問題を提起してくださいました。さらに、前藤沢市市民活動推進委員会委員長の中島智人氏(産業能率大学教授)は、イギリスのボリス・ジョンソン首相の「(新型コロナウイルスのパンデミックに際し)我々は、とてつもないレベルの民間人によるボランタリー・アクション、イノベーション、そして公的セクター、民間セクター、そして社会セクターによるパートナーシップを目の当たりにしてきている。これらは、我々が(新型コロナウイルスからの)復活、あるいは将来のために望んでいる社会モデルの重大な要素である」との言葉を紹介し、この新型コロナウイルスのパンデミックが、改めて市民社会の役割や市民社会の価値を際立たせていると示唆していました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、他者との物理的な距離をとることが求められ、2021年1月現在も対面での行動が規制される事態となっています。ボランティア活動や市民活動の大きな要素は、市民の参加性と捉えています。オンラインでもオフラインでも選べる時には、対面活動による参加性が最良に見えてきていましたが、オンラインの参加性も侮ることはできないことがそろそろ分かってきたように思います。大きな災害を乗り越えたとき、新しい社会が生まれ出てきていることを幾度も人類は経験してきました。
新しい年を迎え、今までと違うコミュニケーションの取り方を覚え、市民創造社会元年の光が届くことを願っています。(て)