震災から10年 市民活動の役割
※本記事は、「F-wave」(2021年3月号)に掲載されたコラム(なぜなにNPO vol.140)を引用・再編集したものです。
あれから10年
何が起こっているんだ。
10年前の3月11日午後2時にビルが大きく揺れた。立つことができず、利用者の皆様に声をかけながら、這いつくばって、テレビのスイッチを入れた。
あれから10年がたち、あれほど頻繁に通っていた東北3県に昨年は一度も足を運ぶ機会はなかった。
2021年に入り、当時一緒に活動をしていた宮城県の友人からセミナーの誘いを受け、オンラインでヒアリングに参加した。
その時ヒアリングを担当したスタッフは、10年前に「15の力」という被災3県のNPOを対象に開催したセミナーの参加者でした。
活動を続けていてくれたことに感動し、思わず「ありがとう」と言ってしまった。
発災後に岩手県に入り、大船渡の町を目の前にしたとき、あまりの惨劇に息をするのもつらいくらい悲しくなった。
私は何をしに来たのか、ここで何ができるのか。しばらく動くことができなかったことを覚えている。
その後、被災3県NPO運営支援「15の力」プロジェクトに協力することになり、最初に見た大船渡のある岩手県を担当し、3年で200回以上通った。
その後も関係を持ちつつ年に数回お邪魔していた。
私にできたことは、藤沢にいる時と同じで、NPOで自己表現をしようとしている人達の応援にかこつけたおせっかいだったと思う。
10年後の今、その中のメンバーが活動の主役になっている場面に遭遇することが多くなり、「ありがとう」と心の中でお礼を言っている。
この原稿を書いている2021年3月5日に、非常事態宣言が21日まで延長された。
昨年もちょうどこのころから、行動の規制が始まった。施設の休館を始め、できることが少なくなることが想定されていたが、それでもできることをメンバー全員で考え、一緒にできることと自分でできること、やりたいことをそれぞれが、文字化する作業をした。
何ができるかを考える
大きな災害が起こった時、自分や自分たちで何ができるかを知っていることが、その後の生活に大きく影響する。最近幾度となく繰り返される自然災害の復興策の中でも大変重要とされてきている。
毎年3月11日が近づくにつれ、個人で、組織で、そのとき何ができたのか、今は何ができるのか、考えることにしている。
コロナ禍でも歩みを止めていない市民活動団体や、あえて、活動を緩やかにして組織のことを考える時間をとっている市民活動団体など、今をしっかり見据え、対応することが、未来を創る市民活動の役割なのではないかと思っている。
